1.要点
現代ロシア語における助詞の数はおよそ70と言われる。しかし、「およそ」 としか言えないのは、助詞と他の品詞との境界線があいまいで、助詞の範囲を明確に定めることができないからである。例えば、а, или, тожеは助詞なのかそれとも接続詞なのか、しばしば区別がつかないことが多い。同じことはсебе, никак(助詞と代名詞)やдай, поди(助詞と動詞)についても言える。また、助詞から成る句(а то, ну да, ну уж, что уж тутなど)を単一の意味単位(慣用句)とみなすべきか、それとも単なる自由な結合とみなすべきか、判断の基準を示すのは難しい。よく用いられる助詞は数が少ないが、①短いことばである、②多義的である、③お互いに結びついて句を作る(так и, ну и, да ведь, вот ужなど)という特徴を持っている。
助詞の意味はコンテクストや具体的な言語使用(=コミュニケーション)に関連づけて初めて特定できるので、語彙的ではなく機能的である。より正確に言えば、語彙的な意味よりも機能的な意味の方が優勢である。
助詞の主な機能的意味:
• 聞き手に働きかける。相手に何かを気づかせたり、好ましい反応や答えを引き出すために用いられる。
• 話し手の感情や評価を表す。特に、予想外の出来事に対する驚きを表し、驚きは、同意、称賛、失望、皮肉、非難、憤慨などの意味合いを持つ。
• 発話内容に対する話し手の主観的態度をマークする。自分の発話に対しては、確信、自信のなさ、懸念、譲歩、疑いなど表し、また、相手の発話に対しては、同意、容認、疑い、拒絶などを表す。
多くの助詞は、さまざまな品詞から助詞へ移行する過程で本来の語彙的意味を失い、代わって上述のような機能的意味を帯びるようになった。例:Смотри какие вы теперь самостоятельные! (君たちはずいぶん大人になったね)。この文でсмотриは命令ではなく、話し手の驚きを表す。
助詞の位置は圧倒的に文頭が多い。ただし、жеは文の先頭に用いることはできない。また、イントネーションを変えることによって、感情や評価のさまざまなニュアンスを伝えることができる。以下、頻度の高い助詞を取り上げて、その意味と用法を記述する。用法の分類と例文は、主としてA.N. VasilyevaのParticles in Colloquial Russian (1993) にもとづく。
2.ВЕДЬ
ведьはведать(知る)に由来する。知っているという行為においては、知っている内容は事実として認識される。そこから述べられていることが明らかであること、事実であることを強調するведьが発達した。話し手は、述べられていることが事実であることを相手も知っているはずだと相手に気づかせようとする(相手に対する働きかけ)。しかし、強調の度合いはそれほど強くない。また、その際に話し手のさまざまな態度や感情が加わる。
位置:ведь は関係する語の前か後ろに置かれる。そのため、文の冒頭か2番目の位置が多い。
(1) 発話に 「証明不要」、「自明の理」 という意味合いを与える。理由の説明や正当化に用いられ、потому чтоに近い。
― Газеты сегодняшние смотрела? ― Нет, ведь я только что встала.
(「今日の新聞見た?」 「ううん、だって今起きたばかりだもん」)
[ведьはя только что всталаを正当化する。потому чтоにはこの機能はない。]
― Опять чашку разбил?! ― Не сердись, я ведь не нарочно.
(「また茶碗割ったの?」 「怒るなよ、わざとじゃないんだから」)
Ой! Уже шестой час. Ведь я опоздаю!
(わあ、もう5時過ぎだ。遅れちゃうよ)[5時に出かけなければならないことは聞き手も「知っている」。そのような前提が明確であればあるほど、ведь が表す理由の意味は弱くなり、ведьは単なる「つなぎ」になる。]
(2) 述べられていることの重要性を強調する。「自分が述べることは正しい、その逆はありえない」 という話し手の態度を示す。
― Что-то с замком случилось, никак не открывается. ― Ты ведь не тем ключом отпираешь! (「錠がへんだわ、どうしても開かないの」 「だって、鍵が違うじゃないか」)
― Надо взять такси. ― Ведь на метро быстрее доедем.
(「タクシーで行かなきゃ」 「でも地下鉄の方が早いよ」)
Мы с Игорем начнём спорить, а Витька уткнётся в книгу, будто ничего не слышит. А ведь всё слышит, всё по-своему сообажает.
(例えば、イーゴリと言い合いを始めるでしょ。すると、ビチカは本に顔を突っ込んで何も聞いてないふりなの。でもほんとはみな聞いていて、自分なりにあれこれ判断しているのよ)
(3) 疑問文において ― 話し手は、自分が望む答えを相手に求める。逆の答えや反応を却下する <~してくれるでしょうね>。
Вы ведь не откажетесь заехать к нам на часок? Мы будем очень ждать.
(1時間ぐらいならうちに寄ってくれるでしょう? ほんとに待ってますよ)
Мам, мы с Тамарой хотим на майские праздники в Сочи слетать. Ведь ты не откажешься взять на это время Верочку к себе?
(ママ、タマラと5月の連休にソチに行きたいんだけど、ベーラチカを預かってくれるわよね)
Ну? Ведь это так? Ведь вы согласны со мной?
(そういうことよね? 賛成してくれるわよね?)
(4) 「自明の理」に警告、脅し、非難、不満の意味合いが加わることがある。しかし、それらの
程度は弱い。
― Я уже пятое мороженое ем. ― Горло ведь заболит.
(「これでアイスクリーム5つ目よ」 「のどが痛くなるぞ」)
Как ты с книгой обащаешься?! Отниму ведь и отдам кому-нибудь другому.
(何で本を粗末にするの? 取り上げてほかの人にあげちゃうから)
Возьми зонтик ― намокнешь ведь. (傘を持っていきなさい。降られちゃうよ)
Что такое?! Ведь я просил ничего не трогать на моём столе!
(何だこれは! 机の上のものはさわるなと言ったじゃないか)
(5) 述べられている出来事が話し手にとって思いがけない発見である。
О! А я ведь вас знаю. Я вспомнил. Вы два года назад к нам в институт приезжали.
(ああ、あなたのこと知ってるわ。思い出した。2年前、うちの研究所にいらしたわね)
― Где мой костюм? ― В шкафу, как всегда. ― А его ведь там нет.
(「僕のスーツは?」 「タンスのはずだけど」 「へんだな、ないよ」)
(6) 疑問詞付き疑問文において ― 修辞疑問の意味合いを与える。相手から答えを求めるのが目的ではない。答えは話し手が 「知っている」。そして、話し手は相手も同じ答えを持っているはずだと考え、それを相手に気づかせようとする。あるいは、相手に自分の答えを好意的に受け入れるよう求める(説得のニュアンス)。
Ты ведь как свободу представляешь? Чего хочу, то и делаю. А это несерьёзно, мальчишество это. (君は自由をこういう風に考えているんじゃないのか。好きなことを何でもやっていいと。でも、それはいい加減だ。幼稚だよ)
Я ведь почему тогда к вам не приехал? Матери стало плохо, в больнице дежурил, не до гостей было. (あの時あなたのところに行けなかったわけはですね、母が具合が悪くなって、病院に付き添っていたからなんです。お客に行くどころじゃなかったんですよ)[完了動詞過去形の否定не приехалは、期待された出来事が起きなかったことを表す。]
3.ЖЕ
述べられていることが「議論の余地がない」ことを強調する。ведь より断固とした調子を表す。比較:ведь ― 相手が話し手と同じ考え方や情報を持っていることを相手に気づかせるために用いる。же ― 話し手が自分の考え方を相手に押し付けたり、自分を正当化するために用いる。 反論を許さないという態度を表す。
位置:文頭には用いられない。多くの場合、最初のことばの後、つまり2番目に置かれる。また、強調することばの後に置かれる場合もある。例:Но вы не сдали же ещё ни одного экзамена!(でも、まだひとつも受かってないじゃないですか);Я об этом никому не рассказывал же.(そのことは誰にも言ってないよ)。[不完了動詞過去形の否定で、言った覚えがない、つまり、責任がないことを表す。]
(1) 話し手が自分の考え方や行動を主張したり正当化するために、理由、説明の文に用いる。
Не тревожьте его, дайте отдохнуть, он же всю ночь работал!
(邪魔しないで、休ませてあげなさい。なにしろ徹夜したんだから)
Ну куда ты собрался?! У тебя же температура!
(いったいどこに行くつもりなの。熱があるっていうのに)
― А Татьяна почему-то не пришла. ― У неё же муж в командировке.
(「タチアナはなぜか来なかったわね」 「ご主人が出張中なのよ」)[夫が出張中だから子供を見てくれる人がいなかったとか、夫の出張中には必ず実家に帰るとか、前提となる状況の読み込みが必要となる。]
(2) 「議論の余地がないこと」から反対の立場を強調する意味が派生する。不賛成、抗議、苛立ちなどの感情を表す <~じゃないですか>。
Она не может сказать неправду. Вы же сами знаете, что не может!
(あの子は嘘をつけない。嘘がつけないことはわかっているじゃないですか)
Девочки на меня посматривают, ждут, что танцевать приглашу. А я не могу ― ногу вывихнул, болит. Но не станешь же кождой об этом рассказывать!
(女の子たちは僕の方をチラチラ見ながら僕がダンスに誘うのを待っている。でも、僕は足をくじいて痛いから声をかけられない。まさか一人ひとり回って理由を話すわけにもいかないし)
(3) 予期せぬ発見を表す(主として動詞の過去形とともに用いられる)。ведьよりも強い調子で、しばしば驚き、当惑、うれしさなどの感情を伴う。
Вот чёрт возьми! Я же забыл подключить контролирующий механизм.
(ちくしょう! モニターをつなぐのを忘れてしまった)
Мы же поехали не в ту сторону! Мы же приехали на другой конец города!
(方向を間違えたんだ! 町の反対側に来てしまったぞ!)
(4) 性質、特徴の程度を強調する。話し手の感情が前面に出てくる <ほんとうに~!>。ведь にはこの機能はない。же はну, и, вотに等しく、しばしば他の助詞と相関的に用いられる。
Хороши же у вас луга тут! (本当にすばらしい草原ね)
Грузины мясо с разными травками готовят ― и вкусно же!
(ジョージアの人はいろいろなハーブを使って肉料理を作る。本当においしいんだよ)
(5) 疑問文において ― 話し手は相手に答え(=自分の考え)を押し付ける <そうするのが当然だ> <当然そう思うでしょう?>。ведьより強い調子で、相手に圧力をかけたり、相手を説得するために使われる。
А Пётр ничего не будет знать. Ты же не расскажешь ему? (ピョートルは何も知らないことにしよう。彼に言わないだろうな?)[完了動詞の否定と連動して警告のニュアンスを表す。]
Вы же не станете бить ребёнка? (子供を殴ったりはしないでしょうね?)
Родителей тоже можно понять, Вы же любите своих детей? Вы же будете волноваться, когда они станут поступать в вуз? (親の気持ちもわかるよ。自分の子供はかわいいだろう? 子供が受験ともなれば、当然冷静ではいられないだろう?)
(6) 疑問詞付き疑問文において
a) 具体的な情報を求める。話し手の感情(驚き、自信のなさ、当惑、絶望など)が入ることがある。
― Цветы в вазу поставь ― там, на большой полке вазу возьми. ― Да их здесь три. Какую же мне взять?
(「花を花瓶に生けなさい。あの大きな棚の上に花瓶がある」 「でも3つあるよ。どの花瓶にすればいいの?」)
Когда же, наконец, эти дожди прекратятся?
(いい加減にこの雨、いつになったらやむんだろう)[наконец は挿入語で、「うんざり」の気持ちを表 す。副詞「ついに」ではない。]
b) 反意疑問
Куда же ты смотришь? (どこ見てるんだよ)(= Не туда надо смотреть.)
Зачем же ты бросил обёртку? Кто же так делает? Надо в урну положить.
(何で包み紙を捨てたんだ? 誰がそんなことをする? ゴミ箱に捨てるんだ)
(7) 命令形とともに用いられて、強い口調で指示する。
Ты все ещё лежишь? Вставай же наконец! (まだ寝てるの? いい加減におきなさい)
4.УЖ
уж はужеから派生した助詞である。「すでに起きた出来事は変えられない」 が基本的な意味で、これに話し手の態度や感情が加わる。
位置:文の先頭が多い。
(1) 話し手の自信、確信を表す <絶対に~だ>。
Уж мой брат, если обещал ― умрёт, а сделает.(兄は約束したら絶対にやりますよ)
― Приходи к нам вечером. ― Спасибо, но как-то неловко. ― Да ты что! Уж у нас всегда все свободно себя чувствуют.
(「晩にうちにいらっしゃいよ」 「ありがとう。でも、ちょっと気が引けるわ」 「何言ってるの。 うちじゃほんと、いつだってみんなくつろいでいるわよ」)
参考: ведьやжеでは、述べられている内容(話し手が提供する情報)は聞き手にすでに知られて
いるものとして提示される。これに対し、ужでは発話内容は聞き手にとって新しい情報である。上の例では、話し手は、兄が約束したら絶対にやるということを聞き手が知らないものとして述べている。あるいは、そのようなスタイルをとっている。
(2) 断固たる調子での肯定(да уж)と否定(нет уж)
― Прошлое лето было холодное. ―Да уж, с десяток солнечных дней не насчитаешь.(「この前の夏は寒かったね」 「ほんと、晴れの日は10日もなかった」)
― Ну прости ты его! В последний раз. ― Нет уж, знаю я этот «последний раз». Нет уж, кончено. (「彼を許してやれよ。これっきりだ」 「イヤよ。わかっているわ、あの人のこれっきりは。ダメ、もうおしまいよ」)
(3) уж + 疑問詞で始まる感嘆文 ― 量、程度を強調する。
Уж как нам бабушка обрадовалась! (僕たちに会えておばあさんはすごく喜んだよ)
Уж сколько раз я тебе говорила: не лезь ты в это дело! Уж сколько раз предупреждала! Вот теперь и расплачивайся сам за свои дела.
(何度言ったと思うの? その件には首を突っ込むなって。あれほど注意したのに。今となっては自分で始末するしかないわね)[расплачивайся = придётся расплачиваться「~せざるを得ない」というモダリティを表す。「~しなさい」という単純な命令ではない。]
Уж снегу было этой зимой! В деревне ― до самой крыши.
(今年の冬は雪が多かったなあ。村では屋根まで積もった)
Уж сердился! (カンカンだったよ)
参考: Уж как нам бабушка обрадовалась! = Как же нам бабушка обрадовалась!
Уж снегу было этой зимой! = И снегу было этой зимой!
Уж сердился! = Ещё как сердился!
(4) уж + 完了動詞未来 ― 話し手は自分の印象や評価、考えに自信を持っているが、それがことばにならない、言いたいことをことばで表すのができない場合に用いられる。
― Алёна! Да ты ли это? Повзрослела, красавицей стала ― ну прямо невеста!
― Уж вы скажете, Матвей Петрович. (「アリョーナ、君かい? 大きくなったなあ。きれいになった。もうすっかり花嫁さんだ」「まあ、何てことおっしゃるの、マトベイ・ペトロービッチ」)
Инспекторша ушла, а Лиза Тихонова давай её представлять. Уж Лизка представит … Мы чуть не умерли от смеха. (女性監督官が行ってしまうと、リーザは彼女の真似をし始めたの。そのおかしなことといったら… おかしくて死にそうだったわ)
А эту сценку Кирилл придумал.Уж он придумает. (そのシーンを考え出したのはキリールなんだ。うまいことを考えつくもんだ)[ужはнуに置き換えられるが、нуのほうが言い控えの程度は弱い。Ну вы скажете, Матвей Петрович; Ну Лизка представит; Ну он придумает.]
(5) уж + 命令形 ― 依頼を表す。親しい関係や相手の権威、影響力にすがる <あなただからこそ頼むんだ>。2人称代名詞が主語として現れるのが特徴で、уж の位置は2人称代名詞の前か後が多い。
Уж ты мне помоги огород вскопать, Петенька. Поедешь на маленьком тракторе, заверни ко мне.
(ペーチェンカ、菜園の掘り起こしを手伝ってくれよ。小型トラクターを出したら、うちの方にも回してくれ)
Уж ты не рассказывай дома, что мне плохо стало. А то на рыболку нас больше не пустят. (僕が具合悪くなったなんてこと、家に帰っても言うなよ。でないと、もう釣りに行かせてもらえないからね)
В магазин? Вы уж купите мне пакет молока, если не трудно.
(買い物? なら牛乳1パックお願いしたいんだけど)
目下の者に対しては、お説教めいた調子が感じられることもある。
Не хвались уж, мог бы сделать и получше.
(自慢するのはよしなさい。もっといい結果が出せたかもしれないんだから)
(6) 同意や許可、譲歩のニュアンスを含むことがある <まあ、よかろう>。
― Выключить музыку? ― Пусть уж играет, только потише сделай.
(「音楽止めようか?」 「いいよそのままで。ただちょっと小さくして」)
Ладно уж, поезжай, дадим уж тебе волю вольную на три дня. Но потом чтоб ― ни одного пропуска уроков!
(よかろう、行きなさい。3日間好きなようにしていいよ。でも、その後は絶対に授業を休むなよ)
(7) 規則など、受け入れざるを得ないという気持ちを表す
Ничего уж тут не поделаешь. (どうしようもないな)
Такие уж у нас тут правила. (そういうルールになっているのです)
Тут уж ничем не утешишь ― горе только время лечит.
(なぐさめようがないよ。悲しみを癒せるのは時間だけだ)
5.ВОТ
近接性を表す指示詞としての意味、「ほら、ここに」 がベースとなってさまざまな用法が発展した。
(1) 指示
派生過程 a) вотの次にそれが際立たせることば(指示語)が来る(вот здесь, вот это)→ b) そのようなことばが省略される(вот (это) возьми) → c) 指示的意味が失われて、近接性にもとづく親密性のみが感じられる(Вот идите на огонёк)。
a) вотが指示し、限定し、際立たせることばが次に来る。вотに強勢はない。強勢はвотが限定する次のことばに置かれる。
Ты будешь жить вот в этой комнате. Вот здесь поставим стол, а тахту передвинем вот сюда.(君の部屋はほらここだ。机はここにおいて、長椅子はこっちに動かそう)
Сердишься? Глаза-то сверкают! Вот такую я тебя особенно люблю.
(怒ってるんだ? 眼がらんらんとしている。君のそういうところが特に好きなんだけれどね)
参考: вонは話し手から遠いものを指すときに用いる (Ты будешь жить вон в той комнате. Стол поставимвон туда, а тахту передвинем вот сюда.)。遠くにあるものを話し手が主観的に「近づける」ことがあるが、вотはそのような心理的に近づけられた対象をさす (Принеси-ка мневот молоток из кухни.(ほら、あのハンマーを台所から持ってきてよ))。
вот+疑問詞の場合はвотに強勢が置かれる。
Кисловодск ― вот куда тебе надо ехать лечиться.
(キスロボツク ― 君が治療に行く場所だ)
Смотри: вот как это делается.(いいか、こういう風にやるんだ)
参考: Вóт как это делается. ― вотに強勢が置かれると、教えてあげるという教訓的なニュアンスがある。Вот тáк это делается. ― такに強勢があると、具体的にやり方を指示する(現場指示)。
b) вотが際立たせるべきことばが省略される。
Вот возьми. Почитаешь. Интересно. (= Вот эту книгу возьми.)
( ほら読んでごらん。おもしろいよ)
Вот полюбуйтесь. Как вам это нравится? Безобразие!
(=Вот на это полюбуйтесь.) (まあ見てごらん、何てことだろう。ひどいじゃないか)
вотの指示対象は話し手が言いにくいような漠然とした状況や事実であることもある。
- Ну как дела? ― Как сказать … Вот пришла с тобой посоветоваться.
(「どう、調子は?」 「うん、まあ… 実はね、あなたに相談があってきたの」)
вотは「あなたに用がある」という事実を指すとともに、それに関心を示してほしいという相手に対する働きかけの機能も持っている。
Да … Вот встретились, значит … (そう、こうして出会えたんだ)
c) 指示の意味が弱まり、うちとけた雰囲気やなれなれしさのみが感じられる。
Давай вот мы напишем ей письмо и расскажем всё как есть.
(ねえ、彼女に手紙を書いて、すべてをありのままに話しておこうよ)
(2) 反意的あるいは対比的な構造の文において、前言に対立する内容を導き、それを際立たせる。 しばしばа вотで用いられる。
А сами-то вы лучше? Вот вы знаете, что Никулин чепуху болтает ― а не остановите его, не крикнете: «Хватит!».
(あなた自身ましだといえるんですか? ニクーリンがバカなことをしゃべっているのを知りながら、彼を止めようとしない、「やめろ」 と言わないじゃないですか)
По всем предметам у нее пятёрки, а вот с математикой не ладится.
(あの子は全科目で5なんだけれど、数学だけはどうもね)
Ребята! Я всё умею делать. Всё, что скажете, сделаю. Авот петь ― не умею, не могу.
(みんな!僕は何でもできる。言われれば何でもやる。でも歌だけはダメなんだ)
対立的な考えや信条の他、拒否、警告、脅しを際立たせるためにも用いられる。通常вотに強勢は置かれない。強勢はвотが関係することば(вотの次に来ることば)に置かれる。
― Пуговица у тебя оторвётся. ― А вот не оторвётся: я уже целый месяц так хожу.
(「ボタンが取れるよ」 「いや、取れない。だって丸一ヶ月このままだもの」)
― Ты ляжешь, наконец, спать? ― Вот не лягу!
(「ようやく寝るのか?」 「いや、寝ないよ」)
―Вот возьму ремень и покажу, как надо со взрослыми разговаривать. ― А вот не возьмёшь! (「鞭を持ってきて大人に対する口の聞き方を教えてやる」 「できるもんか」)
Вот не скажу.(わからない、知らないね ― ①教えてあげたいけれど、知らないから教えられない、②教えてあげられるけれど、そうしたくない。②の場合はскажуに強勢がある。)
Вот пойду и расскажу маме, какие ты слова говорил!
(今言ったこと、ママに言いつけてやるわ)
Ну куда ты полез?!Вот упадёшь и разобьёшься! Слезай сейчас же.
(どこよじ登ってるの! 落ちて怪我するよ。早く下りて来なさい)
[Вот упадёшь = Упадёшь ведь / Упадёшь же. Упадёшь же はより強い警告になる。]
вот + 疑問詞では、出来事が不合理、不適切であるという気持ちを表す。また、さまざまな程度の非難や皮肉が加わることがある。疑問詞に強勢が置かれる。
Ты испортил мне чужую книгу. Вот что я теперь буду делать?
(他人の本を汚してくれちゃって。どうすればいいんだよ)
Я знаю, что сегодня все заняты на репетиции. А вот где ты была вчера? Ни дома, ни в клубе тебя не было. (今日はみなリハーサルで忙しいんだ。なのに、君はいったい昨日どこにいた? 家にもクラブにもいなかったじゃないか)
(3) вот + 疑問詞で始まる感嘆文 ― 予期せぬ発見や解明を表す(= That’s why / how …)
Вот почему поезд задержался почти на полчаса!
(だから列車が30分近くも遅れたんだ!)
Вот где оказалась ошибка!(間違いはここだったんだ!)
Так вот зачем вы сюда приходили по субботам!
(なるほど、そういう目的であなたは土曜日ごとにここにいらしてたんですね)
主観的評価が加わることもある。
Вот сколько они в этом месяце заработали! (そんなにも今月稼いだんだ!)
(4) 驚き、絶賛、感嘆、喜びなど表出的機能を果たす。вотに強勢が置かれる。
Вот костюмчик у неё! (なんて素敵なスーツ!)
Вот хитрый! (= И хитрый же ты!)(抜け目のないヤツ!)
Вот здорово, что ты приехал! (いやぁ、よく来てくれたね)
参考: 「なんという美しさ!」に相当するさまざまな表現 ― Вот красота!; Вот уж красота!; Ну красота!; Ну и красота!
(5) вот … иの相関的用法 ― вотがкогдаやпослеに近い意味で用いられる。
Вот сделай эту задачу, и все другие окажутся лёгкими.
(この問題をやったらほかの問題がみなやさしくなるよ)
Вот передохнём и с новыми силами ― в дорогу.
(一休みしたらまた元気を出して行きましょう)
(6) 話の主題(テーマ)を導入する。
Вот вы говорили о дельфинах. Я за дельфинами одно лето в Крыму наблюдал. Удивительные существа! (イルカについて話されましたが、私はクリミアでひと夏イルカウォッチングをしました。驚嘆に値する動物ですね)
Вот дисциплина. Сколько мы о ней говорим, а толку мало. Дисциплина должна жить внутри самого человека. (規律の話ですが、規律についてはいくら議論してもあまり意味がないでしょう。規律は人間自身のなかに存在しなければならないのです)
(7) 例を導く。
Всё зависит от людей. Вот у нас случай был …
(すべては人間次第だ。例えば、こういうケースがあったんだ)
Всегда у меня времени не хватает, всегда спешу. А вот Лена … Завидую! Никуда не торопится, всё успевает.
(僕はいつも時間が足りなくてせかせかしてるんだ。ところがレナときたら、うらやましいよ。 全然あわてないし、みんな片付けてしまう)
(8) 場面の転換
И вот он приехал. (そこへ彼がやって来た)
Хотелось повидаться, а вот встретились и не о чем говорить.
(会いたいと思っていたが、いざ会ってみると、話すことが何もなかった)
6.НУ
нуは本来間投詞で、相手に動作を促すために用いられる。間投詞と助詞の区別は付きにくい。 「ヌ」 のように短く発音される場合と、「ヌー」 のように長く発音される場合とがある。
位置:文頭におかれることが多い。
(1) 相手に動作や発話を促す。命令形とともに用いられることが多い。
Ну, рассказывай, как у вас там. Все живы-здоровы?
(で、そっちはどうなんだ、皆元気か?)
Ну скажи мне честно: это ты в лифте дверь поцарапал?
(さあ正直に言え。エレベーターのドアを傷つけたのはお前か?)
Ну как вам понравился футбол? (= Ну скажи, как вам понравился футбол?)
(サッカーの試合どうだった?)
Отойди от неё. Кому говорю? Отойди, ну?
(彼女から離れろ。離れろって言ってるんだ!)
参考: Ну скажи честно = Скажи же мне честно / Уж ты скажи мне честно.
(2) 話し手が自分自身に対して自分の動作(発話や語り)の継続を促す <それから… それから…>。
― Рассказывай, как съездил. ― Ну, мы в Перловке вышли из электрички … Ну, ребята нас встретили. Пришли. Ну, там уже стол накрыт, гости собрались, нас только ждали. В общем, нормально, хорошо. (「旅はどうだった?」 「ええと、ペルロフカで電車を降りて、それから迎えが来ていて、それで到着したんだ。それからテーブルにはもうご馳走が並んでいて、招待客も集まっていて、僕たちの到着を待つばかりだった。まあ、結構よかったよ」)
(3) 同意、許可、容認(相手のことばを引き取って繰り返す。)
― Жарко стало. Я искупаюсь, ладно? ― Ну искупайся.
(「暑い。水浴びしてくるわね」 「ああ、しておいで」)
― Я же знаю, что он тебе нравился. ― Ну нравился. Это ещё ничего не значит.
(「あなたが彼を好きだったこと、ちゃんと知っているんだから」 「ええ、好きだったわよ。でもそれが何なの」)
ну …, но … の相関的用法 ― しぶしぶ認めたり、反論したい気持ちを表す。
― Я же спешу! ― Ну спешишь. Но не могу же я всё в одну минуту сделать!
(「急いでいるんだよ」 「急いでいるって言ったって、一度に何もかもできないわよ」)(жеは相手に気づかせるже)
― И вообще это не связано с моей работой. ― Ну не связано. Но ведь речь идёт о судьбе человека. (「だいたいそれは私の仕事には関係ないよ」 「関係ないだろうさ。でも、一人の人間の将来がかかっているんだよ」)
(4) 強調
a) ну + 疑問詞 ― 不快、不満、いらだち、憤慨、抗議など否定的気持ちを表す。
Ну сколько раз повторять вам, что одежду нельзя разбрасывать по квартире.
(服を家の中に散らかしちゃダメだって何度言ったらわかるの)
参考: Сколько же раз повторять вам …? ではУ меня уже терпения не хватаетという気持ちがある。жеは非難に近い。これに対し、нуの方が 「攻撃性」 が弱い。
b) ну + 肯定あるいは否定を表すことば
― Ты зарплату получила? ― Ну да! (「給料もらった?」 「もちろん」)
― Пойди, пожалуйста, завтра на родительское собрание. ―Ну нет! Хватит с меня!
(「明日父母会に行って」 「いやだよ。僕はもうたくさんだ」)
― Ребята поели? ― Ну как же! Неужели ты думаешь, что я их голодными спать уложу? (「子供たちは食べた?」 「もちろんよ。おなかをすかせたままで寝かせるわけにはいかないでしょ?」)
c) ну + 評価を表すことば
― Опять опоздал? Ну безобразие! (またおくれたのか。実にけしからん)
― Посмотри, как цветы в этой вазе выглядят. ― Ну великолепно! Ты просто художник! (「その花瓶の花、きれいだろ」 「見事だわ。あなたセンスいいわね」)
(Ну прекрасно! = Вот прекрасно!)
評価や程度を表すことば(主として副詞)が省略される場合
Ну играет! Такого теннисиста я ещё не видела.
(すごいプレー! あんなテニスの選手、見たことがないわ)
Ну голова болит! Не иначе как гроза сегодня будет.
(ひどく頭痛がする。今日は雷雨が来るぞ)
d) ну + 不完了動詞不定詞 ― 動作が勢いよく始まることを表す(常に過去の動作)<とたんに~し始めた>。
― Девчонки испугались, ну кричать, ну визжать!
(女の子たちはびっくりしてキャアキャア言い始めた)
― Кто-то крикнул: «Матвей идёт!». Мы ― ну стирать с доски написанное!
(誰かが「マトベイが来るぞ」と叫んだ。僕たちは急いで黒板の字を消した)
(5) 不同意、拒否、拒絶
a) ну + 2人称、3人称代名詞対格形
― Выпей микстуру. ― Ну её! (= Пошлю её к чёрту) Такая противная. А кашля у меня уже нет. (「水薬を飲みなさい」 「やだよ。まずいし、それに咳はもう出ないよ」)
― Антонину пригласить? ― Ну её, ― всем настроение испортит.
(「アントニナを呼ぶ?」 「やめとこうよ。雰囲気がこわれる」)
b) ну + 前言の繰り返し
― Мы на прошлой неделе туда за малиной ходили ― целую корзину принесли. ― Ну корзину! Сказали бы ― корзиночку. (「先週あそこにラズベリーを摘みに行ったんだよ。 かごいっぱいに摘んできた」 「かごいっぱいだって! どうせ小さなかごだろうよ」)
― В этом отрывке ничего не поймёшь. ― Ну не поймёшь! Возьми словарь, не спеши, подумай. (「この引用文はさっぱりわからないよ」 「わからないだって! 辞書を引いてじっくりと考えなさい」)
参考: Ну корзину! = Уж корзину! / Так уж и корзину!
Ну не поймёшь! = Ну вот не поймёшь! / Ну уж не поймёшь!
(6) 反意疑問
a) ну + не …? <~じゃない?>
Посмотри, какие серёжки мне Леночка подарила. Ну не прелесть, а?
(見て、レーナチカがくれたイヤリング、素敵じゃない?)
b) ну + 疑問詞!
Ну куда он бьёт! Куда он бьёт! Не туда надо бить!!
(どこを蹴ってるんだ。そっちを蹴るんじゃない!)
Ну зачем расстраивать мать? (どうして母をがっかりさせる必要がある?)
(7) 結論
Никак она не хотела делать операцию. И мать её убеждала, и муж, и врачи. Ну, согласилась. И всё получилось хорошо. (彼女は手術を嫌がっていた。母親に説得され、それから夫や医者にも説得されて、ようやく承知した。そして手術はうまくいった)
Ну, всего вам хорошего. Не забывайте нас. Приезжайте снова следующим летом.
(ではごきげんよう。私たちのこと、忘れないでね。来年の夏もまたいらしてください)
7.И
順接を表す接続詞から派生した助詞で、一致や符合を表し、これに強調の意味が加わる。接続詞と助詞との境界線はあいまいである。
位置:文頭か関係する(強調する)ことばの前。発音上の強勢は置かれないが、比較的はっきりと発音される。
(1) 2つの事実や行為、あるいは話し手と聞き手の考え方の間に一致があることをマークする。 その「一致」に対してさまざまな感情や態度(満足、同意、反対など)が表明される。
― Нет, ты молчи, ты мне ничего не говори. ― Я ничего и не говорю.
(「黙れ、何も言うな!」 「だから何も言ってないよ」)[и не говорю ― 同意と従順を表している。相手を怒らせないため。]
― Вы не волнуйтесь, всё будет хорошо. ― Я и не волнуюсь.
(「心配しないで、大丈夫」 「してないよ」) <よけいなお世話!>
― Тебе розовая кофточка больше идет. ― Я её вечером и надену.
(「ピンクのブラウスの方が似合うよ」 「だからピンクのブラウスは夜に着るつもりなの」)
― Мы соберёмся у меня часам к семи. ― К этому времени я и подойду.
(「7時にうちに集まるんだ」 「その時間なら行けるよ」)
(2) и +(主として)名詞、動詞 ― 程度の強調
Сели мы на бережку, сидим, молчим. И тишина кругом! Даже птиц не слышно.
(私たちは川岸に腰を下ろして黙っていた。あたりは静まり返って、鳥の声も聞こえなかった)
И рыбы мы в тот день наловили! (その日は大漁だった)
Там в деревне бабка одна живёт. И рассказывает она!
(その村に1人の老婦人がいるが、その話のうまいことっていったら!)
Тут появляется некая дама. И причёска у неё на голове! Прямо Эйфелева башня!
(そこに1人の女性が現れた。そのヘアスタイルといったら、まるでエッフェル塔そのものだ)
参考:この用法でのиはже, -то, уж, вот, а, ну иなどに置き換えられる。
А тишина! / А уж тишина! / А тишина-то!
Вот рыбы мы в тот день наловили!
Вот рассказывает!
Ну уж и отдохнул я у вас! (もう、ほんとに楽しかったです)
(и что / кто / где … только … не)
И чем нас только не угощали там! (すごいごちそうでした)
И где только они не побывали в это лето!
(その年の夏、彼らはいろいろな場所を旅行した)
(3) 否定文においてдажеの意味で用いられる <~すら~しない>。
Бабушка на тебя очень обиделась. Она и разговаривать с тобой не хочет.
(おばあさんは君のことすごく怒っているよ。口もききたくないんだって)[= Она даже разговаривать с тобой не хочет. ただし、дажеは文体的に中立なのに対し、иは表出的。]
(4) 相関的用法 и …, но/а … <確かに~だけれども~である>
И осень уж на пороге, а настроение такое, как будто весна начинается.
(秋はもうすぐそこなのに、まるで春が来たような気分だ)
И не писал он ничего, а как-то сердцем я почуяла: едет!
(手紙ひとつよこさなかったが、彼がじきに来るような気がした)[хотя он и не писал ничего, …よりも表出的である。]
次のような文は後半部分(но/а …)が省略されているとみなすことができる。一般に自信のなさを表す。
― Тут зелёная «Волга» не проезжала? ― Может, и проезжала … Я на улицу-то только что вышла, в доме была. (「緑色のボルガがここを通らなかった?」 「通ったかもしれないけど。私はたった今外に出てきたばかりで、家の中にいたから」)
― А премию вам дадут? ― Возможно, и дадут. (「ボーナスは出るの?」 「出ると思うけど」)
8.А
2つの派生過程が挙げられる:
a) 間投詞аからの派生 ― 突然の発見、突然気がつくこと <あ、わかった>、驚き、不同意<ああ>、自分で納得 <あ、そうか>、答えを促す。
b) 接続詞аからの派生 ― 前に述べていることとの関係を表す(対比、アンチテーゼなど)。助詞としてのаはこれらの意味を受け継ぎながら、新しい意味を発展させ、かつ発話になれなれしさや打ち解けた感じを持ち込んだ。
(1) 相手に発話や行為を促す。
Это тут на фотокарточке твой брат, а? (ここに写っているの、君の兄さん?)
Ты думаешь, у меня терпение железное, а?
(俺が何でも我慢できると思っているのか、ええ?)[威嚇に近い]
動詞の命令形とともに用いられると、相手に信頼をおいての「お願い」になる。
Сбегай за молоком, а? А я за это время яички сварю.
(牛乳を買ってきてくれない。卵ゆでておくから)
Дай ты мне в свое удовольствие жареных грибов поесть, а? Не отвлекай!
(今フライドマッシュルームを食べているんだから、気を散らせないでほしい)
呼びかけに用いる(例:Вить, а Вить; Лиз, а Лиз ― ВитяやЛизаの最後の音аが落ちる)。
Лиз, а Лиз, ты мне не дашь свои сердоликовые бусы на вечер?
(ねえねえ、リーザ、パーティーに行くんだけど、カーネリアンのネックレス貸してくれない?)
Мам, а Мам, я с собакой погуляю, ладно?
(ママ、ねえねえママ、犬を散歩に連れて行くわね)
(2) 疑問文やその返答文の先頭に用いられて、論理の流れの「つなぎ」役を果たしたり、新しい局面への転換をマークしたりする。
電話の会話 ―
― Митю можно?
― А он на работе.
― А когда он будет?
― А кто его спрашивает?
― Это его друг.
― А как вас зовут?
― Сергей.
― А он знает, что вы должны позвонить?
― Нет, не знает. Я тут проездом, только что приехал и вечером уезжаю. Хотел встретиться.
― А вы позвоните ему на работу. Запишите телефон …
(3) 突然の発見を表す。しばしば驚き、喜び、当惑などの感情を伴う。
― Ты почему вчера не приходила? У мамы день рождения был. ― Ой, Тося! А я забыла …
(「昨日どうして来なかったの。お母さんの誕生日だったのに」 「やだ、トーシャ、忘れてたわ!」)
― Ну что же ты пылесос не включил? ― Мам, а он не работает …
(「何で掃除機のスイッチ入れなかったの?」 「なんか入らないのよ」)
(4) 打ち解けた感じ、ざっくばらんな感じを表す。
― Рейс откладывается, и надолго. Что же теперь делать? ― А очень просто. Идите в комнату матери и ребёнка и отдыхайте.
(「飛行機はかなり遅れるそうよ。どうしよう?」 「いいじゃないの。親子ルームに行って休んでれば」)
9.ЕЩЁ
助詞のещёは副詞のещёから派生した。副詞としてのещёには、a) 付加(Хочешь ещё?)b) 未完了、未然性(Я ещё не прочитал эту книгу; Он ещё молодой)という2つの意味があり、そこからещёは「性質や特徴が過剰である」、「行為が非妥当である」という話し手の態度(= 機能的な意味)を表すようになった。また、「未だ成らず」という意味から、何かを憶測し、想定する可能性を表すこともある。
(1) 根拠不十分、非妥当性
Она меня оскорбила, а я ещё должен у неё прощения просить?! Никогда!
(彼女が僕を侮辱したんだ。なのにこっちが謝らなければならないのか? いやだね)
Поехал на велосипеде, на камешек наехал, упал ― ногу себе вывихнул. А ещё спортсмен!
(自転車に乗っていて、石にぶつかって転んで足を脱臼したなんて。あれでアスリートなのかしら)
Это твои стихи? А ещё говоришь, что не поэт. У тебя же талант!
(これあなたの詩なの。詩なんか書かないなんてよく言うわね。あなたほんと、才能あるわよ)
(2) 相手の意図や主張を感情的に「皮肉っぽく」否定する。あるいは、反意的に用いられて、逆を強調したり断言したりする。
― Куда бежишь? ― У тёти Маши свадьба. ― Тебя ещё там не хватало!
(「急いでどこに行くんだ?」 「マーシャおばさんのところで結婚式があるのよ」 「キミなんかおよびじゃないよ!」)[= И без тебя там народу более чем хватает.]
― Разве он такой уж некрасивый? ― Ещё красавец нашёлся!
(「そんなにあの人醜男なの?」 「そりゃもう」) [美男だなんてとんでもない = Даже и крохи красоты в нём нет.]
― Может быть, вы чем-нибудь недовольны? Скажите. ― Недовольны ещё! Да мы тут у вас прямо как в раю.
(「ひょっとして、ご不満でもおありなのでは。もしそうなら言ってくださいね」 「不満なんてとんでもない。サービスは申し分ありません」)
(3) ещё + 疑問詞 ― 否定的な態度、感情
― Мы поедем на Байкал! ― Ещё чего придумали! И думать об этом забудьте.
(「バイカル湖に行くんだ」 「またなんてことを。そんなこと考えるのもやめなさい」)
― Где мой муж? ― Какой ещё муж?! Ваш муж ― у вас и спрашивать надо.
(「うちの夫はどこかしら」 「何が夫よ。あなたのご主人ならあなたが知っているはずでしょ」)
(4) ещё + 不完了動詞不定詞あるいは不完了動詞命令形 ― 行為の遂行に対する不満、不快、憤慨などを表す。話し手は当該の動作をする必要がないと思っているので、常に不完了動詞が用いられる。動詞の繰り返し的使用が特徴的である <~するなんてまっぴらごめんだ>。
― Возьми новый чемодан, он хорошо очень выглядит. ― Ещё чемодан с собой таскать.
(「新しいスーツケースを持っていったら。それすごくいいじゃない」 「スーツケースなんかイヤだよ」)
― В общем хорошо, но много исправлений. Так что придётся переписать. ― Ещё переписывать! И без того целый день на это сочинение потратил.
(「全体としてOKだけど訂正部分が多いから、書き直す必要があるわね」 「書き直しだなんて。 これ、書くのに、まる一日かかったんですよ」)
― Ты чего тут стоишь? ― Да вот договорились с Аркашкой. Ещё жди его теперь на дожде!
(「何でこんなとこで突っ立ってるんだよ」 「アルカシュカとここで会う約束をしたんだ。雨の中で待つ羽目になるとはな」)[不完了動詞の命令形には「~せざるを得ない」という意味で用いられる用法がある(ここではжди его = придётся ждать)。ещёはそれに不満の気持ちを付け加えている。]
― Ну что ты меня всё ругаешь? А похвалить забываешь. ― Хвали её ещё! За что? За тройки?
(「何でいつも叱ってばかりなのよ。少しはほめてくれたっていいじゃないの」 「ほめるだって! 3ばかり取ってきて」)[её = тебя]
(5) 想起
話し手が過去の出来事や状況を相手に思い出させようとするときにещёが用いられる。そのような過去の出来事や状況は話し手が聞き手と共有する体験であるのが特徴である。ещёは通常文の2番目の位置に現われ、力点は置かれない。
― Разве ты не знаешь Аллу Фёдоровну? Должен знать: она ещё на Новый год к нам приходила. Она ещё пела нам.
(アーラ・フョードロブナのこと知らないはずないわ。新年にうちに来たじゃない。歌を歌ってくれたじゃない)<おぼえているでしょ?>
― Я в Малаховке не была. ― Как не была! Мы ещё с тобой туда в гости к Пригоровским ездили.
(「マラホフカには行ったことないわ」 「そんなはずないだろ。プリゴロフスキーの家に遊びに行ったことあっただろうが」)
(6) 想定
用法は幅広く、さまざまなニュアンスを帯びる。
― Не хочешь ли закусить? ― Нет, спасибо, я поужинал. ― А чашечку кофе? ― Кофейку ещё можно выпить.
(「何か食べない?」 「食事してきたからいいよ」 「 じゃあコーヒーは?」 「コーヒーならいただこうかな」) [譲歩、同意]
Ему я ещё могу поверить.(彼なら信じてもいいかもね) [確信のなさ]
Давай посидим в своё удовольствие, поговорим без спешки. Когда ещё доведётся вот так встретиться! Может, и не доведётся.
(じっくりと心ゆくまで話し合おうじゃないか。いつかこんなふうにしてまた会える日が来るだろうか。もう来ないかもしれない) [漠然とした可能性]
Плащ возьми, а то ещё дождь пойдёт.
(レインコートを持っていきなさい。雨が降るかもよ) [懸念or警告]
Не особенно донимайте его своими шуточками: ещё обидится и уедет.
(いい加減にヤツをいじめるのはよせ。気を悪くして行っちまうかもしれないぜ) [懸念or警告]
Отцу ещё пожалуюсь.
(お父さんに言いつけてやるから) [脅し]
ещёが話し手の積極的な態度を表すこともある。次の例で述べられているのは話し手の確信である。
Коленька, ты не отчаивайся. Ты ещё выздоровеешь, встанешь, бегать будешь.
(コーレンカ、あきらめないで。きっとよくなるわよ。元気になって動けるようになるわよ)
Вот ты увидишь, Миша-то нас ещё выручит.
(いまにわかるよ、ミーシャがきっと助け出してくれるから)
(7) 感嘆文(ещё + 疑問詞)― 強調
― Ну наелись, ребята? ― Ещё как наелись!
(「みんな、おなかいっぱい食べた?」 「そりゃもう、いっぱい食べた」)
― Дождь у вас там был? ― Ещё какой! Просто настоящий тропический ливень!
(「むこうは雨降った?」 「すごかったよ。あれこそ本物のスコールだ」)
― Ездила в отпуск куда-нибудь? ― Да! И ещё куда! Не догадаешься. Чуть ли не на Северный полюс.
(「休暇でどこかに行った?」 「うん、それがどこだと思う? 北極のすぐ近くまで行ったんだよ」)
10.ТАК
такの基本的意味は、「そのように」(Я делаю так)と「そういうわけで」(У меня маленькая семья, так что расходов мало)から発達した強調と結果性である。これらに様々な主観的意味合いが加わる。
(1) 前述の内容を受けて、その内容から予想される当然の結果を表す。
Замечательное приспособление! Он даст нам большую экономию. Так это вы его придумали?
(素晴らしい装置じゃない! これでずいぶん節約できるわね。あなたが考え出したのね)
В перерыве можешь болтать сколько угодно. А пришла на лекцию ― так сиди, слушай, другим не мешай.
(休み時間ならいくらでもおしゃべりしていいけど、授業が始まったら、静かにして他人に迷惑かけないように)
Спасибо, доктор. Так когда мне прийти к вам следующий раз?
(ありがとうございました。それで、次はいつ来たらよいでしょうか)
参考:так, нуは結果を表す文に用いられ、ведь, жеは原因、理由を表す文に用いられる。
Они крикнули «Стой». Ну / Так я остановился.(「止まれ」と叫んだので、私は止まった)
Когда же мне прийти? (いつ来ればいいんですか?) <ちゃんと言ってくださいよ = Вы до сих пор этого не сказали>
(2) 前述の内容から予想される結果とは異なる展開を示す。反論や驚きのニュアンスが感じられる場合がある。
― Здесь нет полотенца. ― Так принеси!
(「タオルがない」 「なら取ってくれば」)
― Сегодня я занята. ― Так поедем завтра.
(「今日は忙しい」 「じゃ、明日にしよう」)
С такой сумочкой ты идёшь на базар? Так в неё два кило помидоров не войдёт.
(そのバッグで市場に行くのかい? でも、それじゃトマト2キロは入らないよ)
Я ему разрешила пойти погулять немножко ― так он целый вечер где-то бегал!
(少しぐらいなら散歩してもいいと言ったら、一晩中どこかほっつき回っていたんですよ)
(3) 強調されることばがтакを挟んで反復される。
a) 相手の気持ちや考えを受け入れる。
― Володя, давай в субботу никуда не поедем ― проведём вечер спокойно дома. ― Дома так дома.
(「ワロージャ、土曜日は外出はやめて、夜は家で静かに過ごしましょう」 「じゃ、そうしよう」)
― Пустите. Не надо мне помогать. Я сам … ― Сам так сам. Действуй.
(「ほっといてくれ、手伝わなくていい。1人で…」 「わかった。じゃあ1人でやりなさい」)
b) 属性が余すところなく現れていること。
― А что, по-твоему, настоящее? ― Настоящее? Это любить ― так любить. Чтобы всё, что у тебя есть, ему одному отдать. Вот она какая, настоящая любовь!
(「君にとってのホンモノとは?」 「ホンモノ? 全力で人を愛することね。すべてを1人の人に捧げるの。それこそが本当の愛だわね」)
Посмотри, какая коса у той женщины. Вот коса так коса! Прямо ― Василиса Прекрасная.
(あの女性の3つ編みすごいね。あれこそ本物の3つ編みだ。麗しのワシリサだね。)
参考:Василиса Прекрасная ― ロシア民話の主人公で、美と高潔のシンボル。
(4) 近似性を表す(時間、距離、数量、属性など)。
― Когда ты сегодня приедешь? ― Не знаю. Часов так в десять.
(「今日何時に帰るの?」 「わからない。10時頃かな」)
― Какой это Коржов? ― Как тебе объяснить? Он так немножко на твоего брата похож, но выше, и волосы темнее.
(「コルジョフってどんな男?」 「そうだなあ… 君の兄さんにちょっと似ているけど、もっと背が高くて、髪も黒いね」)
